「す、昴っ。体育お疲れっす!」
「アハハッ! アリガトー」
きゅぅぅうと相変わらずあたしの胸を締め付けるのは、学校一のモテ王子……もといあたしの彼氏様。
3ヶ月で1センチ伸びたらしい昴との身長差はついに30センチ目前。
大好きなプラチナの髪は少し伸びて、最近緩くパーマがかけられたんだけど……。
かっこいい! 今日も一段と輝いてます! 眩しいです!
「ラーメンふにゃふにゃ」
「へぁ?」
見惚れていたあたしは、昴の視線が味噌ラーメンに注がれていることに気付く。
「ぎゃーっ! のびてるぅぅうーー!」
「早く食べないからよ」
クスリと悪戯に笑う奈々に体がぷるぷると震えた。
奈々のバカーッ!
「――ふはっ! 話にでも夢中になってたの?」
「どうせまた奈々にいじめられてたんやろ~」
昴の後ろから現われたキョウと翔太に、半泣きの状態で力強く頷く。
「奈々は透をイジメすぎやねん」
「やぁねぇ。好きだからこそイジメたくなるのよ。そんなことも分からないの?」
奈々の隣に座る翔太は「屈折した愛やなぁ」と言いながら、きっとその愛を自分に向けてほしいとか思ってそうだ。
翔太は奈々のことが好きで、奈々にとって翔太は異性で初めて素を見せた人。
「まあまあ。仲良く食べようよ」
あたしの右隣に座った平和主義なキョウはちょっと謎が多いけど、笑い上戸で優しい先輩。
この5人で昼食を食べるのが日課で、毎日の楽しみ。
「トール、俺のたべる?」
「え! ううんっ。大丈夫!」
「そ?」
昴は微笑んであたしの頭を撫でると、左隣り椅子に座った。
優しい……。
好き! のびたラーメンくらい食べますともっ!



