「奈々来れるん!?」
「ウン」
「良かったな、翔太」
笑顔を向けてくれる昴とキョウに、ジワッと滲んだ歓喜。体が震えた。
「よっしゃぁあああ!」
天井に向けてガッツポーズ。
もうすぐ着くってことは俺の出番に間に合うってことやんな!? ごっつぅテンション上がる!
「奈々って誰!?」
「ぐえっ!」
美鈴が俺の首を前に引き寄せるが、俺は痛みを無視して頬を緩ませた。
「そんなん愛しの女に決まっとるやん」
「翔太、そろそろ行くぞ」
「おー! ほな行ってく……」
――ちゅ、と頬に感じた違和感に目を見張る。
「頑張ってね、翔太っ!」
美鈴は笑顔を見せて、ホールの人混みに消えていった。
「――…は?」
俺は戸惑って昴たちを見る。
「ショ、ショータ……」
「落ち着いて。ギリギリほっぺだったよ」
そう言われ、俺は限りなく口に近い頬を手でおさえた。
「な……」
何さらしとんじゃアイツ!! どこ行きよった!
「まあまあ、奈々ちゃん来るんだろ? ダセーとこ見せんなよ?」
バシッと玄に背中を叩かれて我に返る。
そうや! 美鈴なんかより奈々や、奈々!



