「きっと来るよ」
「ダイジョブだよ、ショータ」
キョウと昴が宥めてくれるけど、もうそれどころちゃうねん。
やっぱ俺らの出番の前に、奈々に逢いたい。何でもええから、話をしたいんや。
早う来い。
来てくれや。
頼む!
「翔太~っ!」
俺を呼ぶ声にいち早く反応して、声の主を探す。
透か!? 奈々は!?
「やっと見つけた~! 今日頑張ってよねぇっ」
「なっんやねん……お前かい……」
金髪に太めの黒いメッシュをいれた長い巻き髪をなびかせて俺に抱きついてきたのは、daringのファンクラブの奴やった。
「何その言い方~! 今日応援してあげないよ!?」
ガクッと落胆する俺の首に手を回すのは昔ながらの友人、美鈴(みすず)。俺と同い年で、daringファンクラブの創立者でリーダー。
「あぁもう……俺はお前と絡んでられる心境ちゃうねん」
「何~!? あ、まさか緊張してんの? らしくなーいっ!」
流れる爆音にかき消されないように俺の耳元で喋る美鈴。そうしないと何を言ってるか分からへん。
「ショータ」
不意に昴が俺の肩を叩き、見ると携帯を開いてメール画面を俺に見せていた。
『もうすぐナナとつく! ショータにヤッタぜ!ガンバッテ!って、つたえて!』
……透も大変やな。漢字1個もないやん。……って、奈々と着く!?



