プラチナ王子sequel



そっから俺は奈々を目で追うようになった。


学年が違うからなかなか見かけることは出来ひんかったけど、職員室や清掃時間、全校総会なんかで見ることは出来た。


教師やクラスメイトと話す時の奈々は、笑っとったけど……なんちゅーか、心から笑ってへんように見えて。


透と一緒におる時に見せる笑顔が、ホンマもんなんやと気付いた。


透にしか心を許してへん。そう感じた。


奈々を初めて見た日から1ヵ月も経たへん内に、俺は奈々に近付きたいと、透に向ける笑顔を俺にも見せてほしいと思うようになった。


そっからずっと好きやったんや。


ほんでも、近付けるチャンスなんてどこにもないまま、1回も喋ることなく夏になった。


このままじゃあかん。そう思ってた時やった。


ある日突然、昴が食堂で『透』と叫んだんや。



『トモダチになたトール!』


透の隣でそう言った昴の隣にはキョウが座って、俺は奈々の隣に座った。


内心バクバクやったけど、チャンスが巡ってきたと、このチャンスは逃さへんって思った。


昴が透と友達になったおかげで俺も奈々に近付ける。


そう思ったんに……。


『よろしく奈々ちゃん!』

『こちらこそ。翔太先輩』


微笑み返してくれたのに、俺に向けられた笑顔は透以外に向けられる笑顔と何ら変わりはなかった。


悔しくて、多分ちょっと苦しかってん。


もっと奈々に近付かなあかんと思ったから、俺の提案で全員とメアド交換をした。


きっとこの時俺は、透に負けへんくらい喜んどった。


同時に、奈々に振り向いてもらう。本当の笑顔を見せてもらう。そう決意しとった。