「ああいう純粋そうな子ほど、男心をくすぐるんだよ」
「男を知らないお嬢様!」
「男慣れしてないお嬢様!」
「つまり~?」
「「「俺色に染めたい!!」」」
「……お前らアホやな」
見事なハモリっぷりで。
ハイエナ共が大声を出したせいか、見遣った奈々と透がこちらを見ていた。
「やべー!」「目合った!」とハシャぐ奴らを尻目に、俺は奈々と透を観察する。
なぜか透が顔を赤らめて、奈々の後ろに隠れた。
……ん? なんやろ。
不思議に思っていると、奈々は後ろに隠れた透を見て可笑しそうに笑った。
「――……」
その笑顔が何よりも自然で、綺麗で、何とも言えへん感情が湧きあがる。
その後、奈々に何か言われたらしい透は表情をコロコロ変えながら、大聖と3人で去っていった。
「ショータ?」
「どうした?」
黙っていた俺を不思議そうに見つめる昴とキョウにへらりと笑う。
「や、何でもあらへん。お前らは? どっち派?」
「んー……よくみえなかた」
「どっちも素敵じゃない?」
「……昴は早よコンタクト買いぃや。キョウはどうでもええんやろ」
その後は奈々と透の話が出ることはなく、他愛もない話で盛り上がった。
やけど、その日俺の頭には奈々の笑顔がずっとチラついとったんや。



