「kiss」
「はい!?」
あたしを見上げてる昴は、ニンマリと口の端を上げていた。
「ごほーび、kissがいい」
キッ……キス!? は!?
「いま、ココで」
はーーーっ!?
「無理っ!!」
「……ナンデモって、いった……」
しゅん、と眉を下げてあたしを見上げるブルーの瞳に、グサァッ!とハート付きの矢が刺さった気分。
苦しい……昴の上目使いはヤバいんだってば……殺傷能力高すぎる……。
「イヤ? どーしても、ダメ?」
うぅっ……。
昴とキスするのはイヤじゃないし、ダメじゃないよ。
今日は昴に2回も助けられたし、お礼はしてあげたいの。
でもここは日本なの。ジャパンなの! 体育館なの! 周りに全校生徒がいるのっ!
理性と本能が葛藤中なの!
「……ダメならチガウの……」
「――するっ! って、うあ……」
あたしを支える昴の右手が動いて、咄嗟に言ってしまった。
昴は目を丸くしてから、嬉しそうに目を細める。
「やったぁ」
くそぅ……。
そんな嬉しそうにしたって、あたしが思うことはひとつなんだからね!
超可愛い!!



