『バレー男子! 優勝は、2年1組ーっ!』
わぁー!っと観衆が盛り上がる中、あたしは白目をむいていた。
……オーマイガー……。
「良かったわね透。ご褒美、何が欲しいって言われるのかしらねぇ?」
隣でクスクス笑う奈々の微笑みが悪魔にしか見えない。
昴のチームが優勝……イコールあたしは昴にご褒美をあげなきゃいけない。
昴のチームが勝って嬉しいよ、嬉しいけどっ!
「どうしよう奈々ーっ!」
「知らないわよ。自分で言ったんでしょう?」
「無意識だったの! 励まさなきゃと思っただけなの! 奈々のせいだぁぁああ!」
「なぁに? 人のせいにしないでちょうだい」
どうしようどうしよう、どうしよーーっ!
頭を抱えて悩んでいると、「トールッ!」と昴が満面の笑みであたしに向かってきた。
「かったよーっ」
いやーっ! 眩しい! 昴がいつにも増してキラキラしてて眩しい!
その光を遮るように両手を顔の前にかざしていると──ふわりと足が床から離れる。
「!?」
「ごほーび、チョーダイ」
いつも昴を見上げてるあたしが、今は昴を見下ろしていた。
「ちょっ……昴っ!? 下ろして!」
昴は抱きかかえたあたしを自分の左腕に座らせ、右手を腰に回して支えている。
何これ何これ! どうなってんの!? ちょっと待って高い怖い!



