「いつまで顔赤くしてるのよ」
「昴先輩らしいよな~」
「公衆の面前で凄くね?」
「もうやめてぇええええ!!!」
恥ずかしくて死ぬっ! 昴を置いて死ねないけど!
遅めの昼休み。あたしは奈々と大聖と忍の4人で、コートの端っこにいた。
だけど3人はずっとさっきの話ばかりしてきて、もう耐えられない。
「あたしはバスケをするっ!」
「逃げんの早くね?」とバカにする忍を無視して、ひとりコートの中に走った。
ああもうっ! せっかく決勝戦まで進んだのに、これじゃあ集中出来ないっ! 集中! 集中!
未だに熱を持つ頬をバシバシ叩いていると、後ろから投げられたボールが吸い込まれるようにゴールへ入った。
「…? ――隼人っ!」
振り向くと、シュートしたらしい隼人が手をあげて立っていた。
「おっす」
「おっす……」
「凄かったな、さっき」
ものの数秒でニヤニヤする隼人の腕を力いっぱい叩く。
「っだよ! 照れんなよ!」
「~っうるっさい! 隼人のくせに生意気!」
「はぁ!? お前にだけは言われたくねぇよっ!」
「喧嘩しないでちょうだい」
隼人と睨みあってると、呆れ顔の奈々がコートにやってきた。
「守ってくれて、いい彼氏じゃないの」
「うっ……! まぁ、そう……だけど」
でも、それとこれとは別っていうか! あんな人前で急に! 心臓爆発するかと思ったんだもん!
あたしは恥ずかしさのあまり、あの場から一目散に逃げた。
試合が終わった昴はあたしを探しに来てくれたけど、同じく全力で逃げた。



