「――……?」
あれ? 痛く、ない……?
恐る恐る目を開くと視界が何故か45度回転していて、体が床に横たわっていた。
「「「きゃーっ!!」」」
女子の声にハッとすると同時に、あたしに影が出来てることに気付く。
目だけ横に動かすと、サラッと何かが動いた気配。
「――っ!」
「……ダイジョブ? トール」
一番初めに見たのは、サラリと流れたプラチナの髪。それから、あたしに覆い被さる昴の顔。
「すっ! すばっ……!?」
なんっですかこの体勢ーーっ!
「おい大丈夫かいなっ!」
「痛かっただろっ」
翔太とキョウの声が聞こえると、あたしに覆い被さっていた昴が起き上がる。
「ヘーキ」
昴はあたしの肩を支えて、起き上らせてくれた。
「ダイジョブ? ケガない?」
心配そうに顔を覗いてくる昴だけど、舌がうまく回らない。
「は、はひ……ダイジョブです……」
かっかっと湯気が出てそうなくらい真っ赤なあたしに、昴はホッとした表情を見せた。
「ヨカッタ。あたらなくて」
「――っ昴は!? 大丈夫!? 痛かったよね!?」
慌ただしく昴の体を右に左と見れば、温かい手が頬を撫でる。
「ヘーキだよ」
優しく笑う守ってくれた昴に、きゅぅう~と胸が締め付けられる。
王子っぷりが留まるところを知らない!
こんな人が超平凡な公立高校にいる奇跡に乾杯!



