「あれ昴の試合なんじゃないかしら」
「……えっ!?」
驚いたあたしの代わりに、大聖と忍が背伸びをしてコートの様子を見る。
「あー……あのギャラリーじゃそうかもね」
「今キンキラキンの髪見えたから、絶対そうじゃね?」
キンキラキン!? その輝きは間違いなく、王子昴っ!
「行くよ奈々っ!」
奈々の手を取り、一目散にステージ側に走る。
も~っ! 球技大会って負けない限り自分のクラス以外のこと考えないから困る!
昴のジャージ姿! 昴のバレー! 滅多に見れないのにーっ!
「昴ナイスサーブ!」
「ガンガン点取るでー!」
ギャラリーを必死にかき分けると、サーブが決まって満面の笑顔でキョウと翔太とハイタッチする昴の姿があった。
周りでは「王子ー!」とか「かっこいいー!」って声が聞こえる。
「ちょっと透」
鼻血出そうですあたし。
「せっかく一番前まで来たんだから、悶えてないでちゃんと見なさいよ」
「だって……昴の格好良さに失神しそう……」
「気持ち悪いわ」
だってだって、超ーっかっこいいんだもん! サーブ決めるとかどんだけかっこいいの!
ハァハァと息を荒くさせていると、「あっと3点! あっと3点!」と手拍子が始まった。
あと3点取れば、昴のクラスが決勝戦に行くらしい。
ドキドキする鼓動を抑えて、昴がサーブする姿を目に焼き付ける。
相手コートを見る昴の真剣な目。捲ったジャージから覗く、華奢なのに男らしい手足。
昴はボールを高く上に投げ、落ちてきたボールめがけて助走すると、バシンッ!とジャンプサーブをした。



