「――あ。キタ~」
「待ちくたびれてもうたわ」
「仲直りしたの?」
奈々と腕を組んでカフェを出ると、店の真ん前のガードレールに昴と翔太とキョウが腰掛けていた。
「仲直りしたよーっ!」
昴たちにVサインを向ければ、隣の奈々は素直じゃないからそっぽを向く。
「ヨカッタネ」
「へへ~っ」
微笑む昴に近付けば、あたしの頭を撫でてくれた。
「あ~ホンマ寒いわぁ! 早よ学校行くでっ」
翔太が首をすぼめて両腕をさすりながら言うと、キョウが腕時計を見ながら頷く。
「だね。もう9時半だし、そろそろ行かないと」
いつも5人の流れに身を委ねようとした瞬間、忘れていた疑問を思い出した。
「ていうか! 何で途中で昴と奈々が入れ替わってたの!? 翔太とキョウまでいるし!」
「ショータからcall、あったでしょ?」
「そうだよ! 電話に出た時は、まだ昴いたのにっ」
「ショータにナナを、つれてきてもらったんだよ」
「え……ほんとに?」
ふたりを見ると相変わらず奈々はそっぽを向いていたけど、翔太がニヤリと笑った。
「ほんっまに奈々は素直じゃないねんな! 駅までは大人しく来たくせに、カフェには中々行こうとせぇへんし。説得に疲れてもーたわ」
やれやれと首を振ってお手上げのポーズする翔太を、奈々は黒いオーラ全開で睨んでいる。
ほんとなんだ……。奈々を説得するなんて、翔太ってばやるじゃん!
「まぁ仲直りしたんだから結果オーライってことで、ね?」
今にも口喧嘩しそうな翔太と奈々の間に割って入るキョウに、「ウンウン」と頷く昴。
みんな仲良しだなぁ。
このまま奈々も、素直になってくれるといいなぁ……そこはあたしの努力という名の協力次第かもねっ!
想像してにまにま口を緩ませていると、「今より調子に乗ったら頬骨粉砕するわよ」って隣から毒舌の矢が飛んできたけど、知らないふり知らないふり。
球技大会、俄然やる気出てきた!



