勝手に想像してぼんやりしていた奈々の本当の気持ちが、奈々の言葉によって鮮明に形になっていく。
今までの奈々のキツい、毒舌な言葉の裏にある本当の気持ちが今更はっきりと分かった。
「……奈々」
目を伏せていた奈々は、不安げにあたしに視線を送る。
「あたしね、奈々が大好きなんだ」
少し目を開いた奈々に、あたしの気持ちを言ってみようか。
「出逢った頃から、今も、これからも。ずっと大好きだよ。ずーっと一緒にいるんだよ」
だってあたし、奈々がいない人生なんて考えられないもん。
「奈々がいないとつまんない。奈々はあたしの隣で、ずっと毒を吐くんでしょ?」
お黙り透って。気持ち悪いわって、言うんでしょ?
「ていうかさ、あたしがいなかったら、奈々に群がる男たちを誰が追っ払うの?」
ニカッと歯を見せて笑うと、奈々はうっすら目に涙を浮かべて、微笑んだ。
「何言ってるのよ……バカね……」
「だってあたしは奈々の番犬ですから」
番犬は、ご主人様のそばを離れたりなんかしないでしょ? 牙をむいたり、しないでしょ?
「奈々、奈々! 今日うち泊まる?」
「……ほんとバカよ、透」
バカだもん。テスト赤点ばっかだし。
難しいことはよく分かんないから、簡単な方がいいじゃん。
「ありがとう」
奈々は本当に綺麗な顔で微笑んで、一筋だけ涙を流した。
ありがとうなんてあたしが言いたい。
本当の気持ちを話してくれてすごく嬉しいから。
ありがとう、奈々。



