変化は怖い。
楽しいことだってあるけれど、今の私に起こってる変化は、怖い。
翔太のイベントに行ったら、きっと告白されてしまう。
そしたら私は断る。だって好きじゃないもの。恋人になんか、見れないもの。
でも断ったら、翔太は離れてしまうかもしれないじゃない。
それは嫌なの。でも、向き合うのも嫌。
私は翔太の真っ直ぐさが怖い。
いつか惹かれてしまいそうで、恋なんてしたことないから、どうすればいいのか分からなくなるに決まってる。
だから全て回避してしまおうと思ったの。
とりあえずイベントに行くのは、避けなきゃいけないと思ってた。
告白されたくないから。
翔太を失うのは嫌だから。
いつか恋をするかもしれないから。
でも……。
「ねぇ奈々? 奈々には透がいるから、大丈夫。保障するよ」
「……そうね」
透がいるわ。
単純だけどタフで、目先のことしか見えていないけど、決して逃げない。
きっと数えるほどしかないと思うけど、悩んだり迷ったりしたら透に話せばいい。私の、本当の気持ち。
「まずは仲直りだね」
兄様はメガネを押し上げながら妖艶に微笑む。
……透に謝って、イベントに行くって言わなきゃいけないのね。
これから私、どうなるのかしら。
「……憂鬱だわ」
だけど少し楽しみ。
三日月が浮かぶ冬の夜。
いつもと違う私が、心を満たし始めた。
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