「隼人、彼女とラブラブみたいだね~」
大聖と忍の分の飲み物を買いながら言うと、奈々は「そうみたいね」と返してくる。
朝帰りで、彼女が理由ってことは、彼女の家に泊まったってことかな?
「いいなー! 仲良しなんだろうなっ」
「透は泊まらないの?」
「はひ?」
受け取り口から飲み物を取ると、なぜか奈々に微笑みを向けられていた。
黒いオーラが見えるのは気のせい……だと、信じたい……。
「と、泊まるってどこに?」
「やぁねぇ。昴の家に決まってるじゃない」
「す……っ!」
昴の家に泊まる!? 誰が! あたしが!?
「泊まらないよっ!」
「あら、どうして? 付き合ってるのにお泊まりデートしないの?」
「え……だって……」
「隼人先輩だってしてたじゃない」
まあ、そうだけども……。
隼人がしてたからって、あたしもお泊り出来る理由になるわけじゃないし。
「うーん……。でも、心の準備がね? まだ出来てないからさ……」
少し照れながら言ったあたしに、奈々は目を丸くした。
……え。
えぇっ! 奈々が驚くなんてめずらしい! もはや奇跡!
物珍しさに目を輝かせていると、ポツリと奈々が呟いた。
「つまらないわ」
「え? 何が?」
「バカだと思ってたのに、バカじゃなかったのね」
手を頬に当てて残念そうに溜め息をつく姿は、めちゃくちゃ可愛い。
でもバカって! バカだけどさ!
「楽しみがひとつ減ったわ」
はぁ……と哀愁漂う奈々を不思議に思って、首を傾げた。
いつかお泊りデートしたいとは、思ってるんだけど?



