「ほな! 気ぃつけて帰りやぁっ」
「またあしたネ」
「バイバーイッ」
昴と翔太と分かれて、私と透は駅構内に入る。無言で改札口を通ると、後ろから透が声を掛けてきた。
「奈々ー」
「何よ」
「あぁぁああごめん~っ! 怒った? 怒ったよね!?」
「別にいいわよ。どうせ8時に終わるわけないもの」
「えっ! じゃあ来れないの!?」
「99%無理ね」
そう言って透の顔を見れば、ショックを受けた表情で私を見上げていた。
ほら、普通こうなるでしょう?
それなのにどうしてあのバカ……翔太は、私が来る可能性の方を信じるのかしら。
「100%無理ね」
「何で1%上がったの!?」
「ふふっ。一筋の期待も完膚なきまでに潰しておこうと思って」
「……」
あら。今日は白目剥かないのね。
言い返してもこないなんて、つまらない。
電車に乗って地元までの20分、透はずっと犬が耳を垂れるようにしょんぼりしていた。



