「興味ないわ」
知ってるからって教えたりしない。
透が悩んでる姿、面白いんだもの。
「奈々ちゃんのバカちん」
「バカにバカって言われるほど不快なことってないわ」
「ヒドイ! 鬼!」
目の前で喚く透を無視して、溜め息をついた。
何か面白いこと、ないのかしら。肝心の透はキョウの話ばっかり。
私はキョウの話じゃなくて、昴との話が聞きたいのに。
「サムイーッ」
「おねーさん! 注文取りに来てぇなっ」
カフェの入り口の鈴が鳴ったと思ったら、昴と翔太が小走りに私たちの元へ向かってきた。
「キョウは来てないの?」
透は隣に座った昴に問いかける。
「ウン、バイトだって」
「社会勉強……」
「……study?」
昴は意味が分からなそうに首を傾げながら、巻いていたマフラーを取る。
まだ宇宙人だと思ってるのかしら。そもそもどうしたら宇宙人って考えに辿り着くの?
ほんと根っからのバカね。可哀想な透。
心とは裏腹に、私の唇は上に上がる。
「あ、おねーさん俺アイスティー! 昴は? 何にすんねん」
隣に座っていた翔太が声を掛けた通り、女性スタッフが微笑んでテーブルの横まで歩いてきた。
「アイスティーと、何になさいますか?」
「んー……American coffee」
ほんわかした笑みと本場の発音を乗せた昴に女性スタッフも透も目がハート。



