「……名前は何ていうんだろうね? おう……か、ちゃんとか?」
「とりあえず顔出しなさいライアン。おうちゃんが気づく可能性もあるでしょう」
奈々は毛布をライアンの肩まで降ろして微笑む。
「みつかるとイーネ」
昴が頭を撫でると、ライアンは嬉しそうに笑った。
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ行きましょう」
昴とライアン……親子みたーい! 兄弟でもいい! 素敵……っ。
廊下を歩き出すと、あたしたちに気付いた周りがざわつきだした。
「やっぱ目立つわよね」
「そりゃあ昴とライアンの美しさがあれば! 当たり前っ」
「……違うわよ。バカね」
「はひ?」
意味が分からないまま2年生の廊下の真ん中まで来た時、一際大きい声が響いた。
「徠庵!?」
……え?
「おうちゃんっ」
パッと顔を明るくしたライアンに急いで顔を上げると、数メートル先で“ライアン”と叫んだらしいおうちゃんが立っていた。
え、え?
おうちゃんって……。
「「キョウ!?」」
「何で徠がここに……ってか何で昴たちと一緒に……ぶふっ!」
何で笑うのか分からないけど、可笑しそうに近づいてきたのは紛れもなくキョウだった。
ついでにキョウの隣に翔太もいたけど、呑気に「誰やその子」なんて言ってる。
「大きくなったなぁ徠ー!」
あたしの腕からライアンを持ち上げて爽やかに笑うキョウが、おうちゃん……?
――あっ! 名字が王良(おうら)だからおうちゃん?
ていうか探してたのはママじゃないのーーっ!?



