「それで、本当に昴の子なの? 許さないわよそんなの。今すぐ透に土下座してちょうだい」
「チガウチガウ!」
黒いオーラ全開の奈々を見て焦った昴は、必死に手を横に振る。
「……やっぱりパパじゃないですか」
昴に必死に手を伸ばしていたライアンは違うと否定する昴を見てシュンとしてしまった。
「ライアン……」
「本当に違うんでしょうね」
「オレにコドモいないよっ!」
奈々に睨まれた昴が言うと、ライアンが「ごめんなさい」と謝る。
「……お兄様、パパにすごくにてるです。パパがむかえにきてくれたかと思いました」
「……」
しょぼんとするライアンに、あたしと奈々は顔を見合わせた。
昴の子供じゃないなら、とりあえず一安心だけども……。
「ライアン」
「……」
「探してる人の名前は?」
腕に抱きかかえてるライアンの顔を覗くと、悲しそうなグリーンの瞳があたしを見上げた。
昴がパパに似てるなら、今まで育ててくれたのはパパで、ライアンが探してるのはママなんだと、あたしの頭は想像していた。
「……フルネームは分かりません。おうちゃん、です。」
「じゃあ、おうちゃんを探せばいいのね?」
昴にもいきさつを話して、あたしと奈々はコソコソ探すのをやめることにした。
もう清掃時間が終わってしまう。早くライアンのママを見つけなければ、帰ってしまうかもしれない。



