「大丈夫。誰も見てないわ」
「……あの、びっくりしないでね?」
昴を見上げると、不思議そうに頷いた。あたしは毛布をめくって、昴にライアンを見せる。
「ライアンって言うの。探してる人がこの学校の2年生らしくて……校門で会ったんだ」
毛布から顔だけ出したライアンを、目を丸くして見ている昴。
「ライアン。この人はすば……」
「――パパッ!?」
……はひ?
「パパ……?」
奈々の怪訝そうな声が聞こえて、頭の中でリピートされる。
パ……パパ……パパって、お父さんって意味の、パパ?
ライアンは手を伸ばして昴を求めている。昴はポカンと、放心状態。
いやいや……ハハッ……はぁああああああ!?
あたしは昴の彼女じゃないの!? 彼女だけど昴には奥さんがいるとかって話!?
嘘だと言って!
現実に背を向けたいあまり、思考回路は閉鎖して白目剥いておきます。
「トールッ! もどってきて!」
「パパッ!」
「パパ? ダレガ? スバルガ、パパ? アハッ」
「トールゥーッ!」
──ミシッ!
「透? いい加減にしないと怒るわよ?」
「はひ……ふみまふぇん」
思考回路復活するから頬骨粉砕だけはやめて下さい奈々様……。



