「――で? その毛布にくるんで抱えてる生物はなぁに?」
「奈々も一緒に探してよーっ!」
あたしは授業を受けていた奈々にメールを送り、ライアンを毛布にくるんで抱きかかえ、屋上に続く階段の踊場で奈々を待っていた。
「私までサボらせた理由を述べなさいって言ってるでしょう?」
奈々に両頬を押し潰されて、ミシッ!と骨が軋む。
「しみまふぇん……はなひまふ……」
「分かればいいのよ」
頬骨割れるかと思った!
「……ふぅん。それで、2年生をしらみつぶしに探すってこと?」
ライアンに聞こえないように、ライアンが学校に来た理由を話すと、奈々は妖艶に微笑んだ。
「楽しそうね」
「………」
奈々……お遊びじゃないから!
「ライアンに私のことは紹介してくれないの?」
「あっ、そっか! ライア~ン。あたしの友達だよ」
あたしの胸にうずくまっていたライアンは、もぞもぞと動いて毛布から顔を出した。
「……あら」
「……ライアンです。5才です」
「初めまして。奈々よ」
小さな手を軽く握って微笑む奈々に、ライアンはほんのりピンク色に頬を染める。



