「ライアンはこの学校に何か用事があって、校門にいたの?」
隣に座るライアンを見下ろすと、こくん、と頷いてあたしを見上げた。
「人をたずねてきました」
「……人?」
「今日からおせわになるので、ごあいさつにきたです」
「ほ……ほう」
ごめんライアン。全く話が見えない……。
「えーっと……その、人?は、この学校にいるの?」
「はい。えと、とーるはおいくつですか?」
「あたし? 16歳。高校1年生だよ」
「じゃあ、とーるのひとつ上に……」
「……あたしの一個上?」
お世話って言うから先生かと思ったのに生徒って…………え?
いやいやそんなまさか。いやでも……。
実は赤ちゃんの時に何らかの理由で祖父母に引き取られて父親か母親か分かんないけど今日からどっちかにお世話になりますってことなの……?
でも家で待てなくて訪ねてきたんだけど緊張で入れなくてあんな寒空の下で待ってたの?
そうなの!? ライアン!
「どうしたんですか、とーる」
「ラッ……ライアン……!」
「…? はい」
なんて健気なの! 立派なお母さんかお父さんに育てられたんだね? だからそんなに礼儀正しいんだね!?
「あたしに任せなさいっ!」
「わわっ!」
あたしがお母さんかお父さんを探してあげるからね!



