「――ココアで良かった?」
「おいしいです」
小さい両手でホットココアを飲む姿と言ったら……! きゅんっ!
とにかく暖かい場所に!と思ってたどり着いた先は、教室以上に暖房がきいた保健室。
まさかの保健医が外出中だったけど……まあ、好都合っちゃ好都合。
「とーるは、カギあける名人なんですか?」
「んー? ……そうかもねっ」
カギ開け名人って何だ。と思いつつ、その可愛さに頬が緩むあたし。
外出中だということなので、ヘアピン2本で鍵を開けさせて頂きました。
「寒くない? 平気?」
ヒーターの前に座るライアンに毛布をかけてあげると、ニッコリと笑顔が返ってきた。
「はい。もうポカポカ。ありがとうございます」
──バタッ!
「とーるっ!? どうしたんですかっ」
笑顔に胸キュンしてぶっ倒れたあたしを必死に揺さぶるライアン。
子供の可愛さって罪ですね……!
「大丈夫ですか……?」
「大丈夫、大丈夫。胸キュンしただけだから」
起き上ると、ライアンは不思議そうな顔をしながらも「むねきゅん?」と尋ねてくる。
「あ、こっちの話。それにしてもライアン、日本語上手いねぇ」
「ボク日本育ちです」
「え、そうなの?」
どうりで上手いわけだ。
昴より流暢に話すもんなぁ……。
買った時よりもぬるくなったミルクティーを口に含むと、疑問がまた頭に浮かんだ。



