「――……」
不意に、昴の手が頬に触れた。優しく撫でるように髪を掻き上げられ、柔らかいものが唇に触れる。
離れると同時に目を開けると、深いブルーの瞳にまたあたしが映っていた。
それをただ黙って見つめていると、昴は何度もあたしにキスを落とす。
額に、目元に、頬に。
お互いの唇が触れれば、軽く、深く、離れては向きを変えて、何度も何度もキスに溺れた。
頭がボーっとして、体の芯が熱くなる。
長い間キスをして、少し息切れしているあたしを昴はベッドに寝かせた。
ぼんやりする頭で昴を確認すると、何でかあたしの上にいる。
不思議に思っていると、再び甘いキスをされた。
「……っ……はぁ…」
何だろう……。
苦しいのに、もっと求めてしまいたくなる。
「トール……」
あたしに覆い被さってる昴の顔が近づいてきて、キスだと思ったら昴はあたしの首に顔を埋めた。
「………っ!?」
生暖かい舌の感触を感じたかと思えば鈍い痛みが走り、軽く吸い付かれた。
ちょちょちょ……! 待って! 分かってる!
えーっと、えーっと、キスマークですかね!?
決してあたしを食べようとしてるわけじゃないんだよね!?
昴の左手があたしの左手を握る。
ドキンと胸が高鳴って、なんだかいつもと状況が違うような気がした。
「――! ……すばっ……」
昴の唇が首筋から鎖骨に移動して、一気に体が熱くなる。
「……っ」
顔を横に背けて、右手の甲で口を覆う。
何これ何これ何これ!!!
この状況は何!?



