「……トール」
「ん?」
見上げて、ブルーの瞳を見つめた。
あ……昴の瞳にあたしが映ってる。
ジィッと見つめると、また昴が顔を背けた。
あぁ!
「もーっ! なんなの昴!」
「だって……」
「だって?」
「トール、カワイー……」
「……はひ?」
カワイー……? カワイーって!
ボッ!と赤くなる顔。
何かコレ、あたしが昴に触られたり見つめられたりするのが恥ずかしかった時と似てない?
……昴も、あの時のあたしみたいな心境なのかな。嫌じゃないけど、恥ずかしくて堪らなくて。好きで、どうしようもなかった。
そうだったら、嬉しいなぁ……。
昴が頬を染めたままチラリとあたしを見たので、黙って視線だけ送る。
「うわめづかい、ヤメテ……」
上目づかい……?
「え!? 見上げちゃうのは仕方ないじゃん! 身長差どんだけあると思ってるの!?」
「そーだけど……」
照れる昴に、あたしまで照れてしまう。
「「…………」」
な……なんだこの空気……。
あたしにはどうすることも出来ない為、昴の両脚の間に横向きで座ったまま、黙って昴の胸に頭を預ける。
目を閉じて、昴の心音に耳を傾ければ規則的な音。微かに香る、嗅ぎ慣れた昴の香水。
……良かった。
ここに戻ってこれて、良かった。
トクン、トクン、と鳴る心臓があたしのものか昴のものか分からないけど、すごく安心する。
このまま寝たら、昴怒るかなぁ……。



