――……はっ!
「何すんのさっ!」
思わず癖で喜んで受け入れちゃったじゃん!
「……お前可愛いな」
「はひ……?」
ズイッと顔を近づけてきたレイに目を見開く。
「ウチの犬にしてあげようか?」
「ダメーーっ!!!」
「ぐえっ!」
昴が後ろから抱き締めてきて、あろうことか首を絞められそうになった。
「ちょ……昴っ!?」
「トールはオレのなんだから! レイもダレカも、みんなダメ!!!」
「……分かった分かった。つか昴、もっと日本語勉強した方がいいんじゃないの」
トールは……オレのもの……。
かぁ……と赤くなるあたしを、昴と言い争っていたレイが見た。
ウゼーって顔しながら口の端を上げるレイは、ポンとあたしの頭を撫でて昴を見上げる。
「じゃあね。元気で」
「……ホントにいくの?」
「お前らがウザイからね」
「レイは、くちのワルさ、なおしたらいいんじゃない」
「襲うぞエセ王子」
「ちょっと! 昴はエセじゃないもん!」
「ウゼー! もう行く! じゃあなっ!!!」
レイが駆け出すと、昴が名前を呼んで引き止める。
「またネッ!」
昴の言葉に、レイはとびきりの笑顔を見せた。



