「諦めてあげるよ」
「……はひ?」
「やってらんない。バカすぎ! いきなりバカップル! アンタの友達も怖いし、昴なんかもう要らない」
「……勝負しないの?」
「するかチビ! 勝敗が見え見えだろーが! ウチは勝てる勝負しかしねぇんだよ!」
あの……せっかく綺麗な顔なのにその言葉使いは……ないです。
「ああそれから、アンタどこから見てたか知らないけど、あれ、勘違いしてんなよ」
「あれって……抱き締め合ってた時のこと?」
「そう。あれウチが昴に好きだって言って、襲おうとしただけだから。ちなみに未遂だから」
お……襲おうとしたって……。
学校一の王子に何してくれてんの!?
「気持ちは嬉しいでもゴメンって言われて、昴がハグしてきたわけ。んで、そんなに透が好きかって聞いて……まあそこにアンタが居合わせただけ」
だけ……って……適当だな。
「あんたに言った昴のことも全部嘘だから。……じゃ。ウチ帰る」
嘘って………あたしめちゃくちゃ泣いたんですけど……。
てか帰るって……。
「帰るってアメリカに!? 今から!?」
「ナンデ!? まだいれるでしょ!?」
驚くあたしと昴にレイは大きなため息をついて、昴を見上げた。
「昴を手に入れる為に日本に来たの。結果惨敗。日本にいる意味がない。Are you ok?」
「で、でも……」
昴が眉を下げると、レイは昴に蹴りを入れた。
「アメリカ帰って恋人作るんだよ! 言っとくけどモテモテなんだからな! 昴なんてもうどうでもいいっつーの!」
「わかったから、おこらないで……」
「おいブス。昴、他のやつに奪われたら串刺しにして食ってやるからな」
こわっっ!!!
「奪われるわけないじゃん! てかあたしの名前はブスじゃなくて、透っ!」
「変わんないし」
「変わるじゃん!! 全然違うじゃん!」
ムスッとしていると、突然レイに頭を撫でられた。あたしの短い髪がグシャグシャになる。



