「レイ……。オレ、トールのそういうとこが、スキなんだ」
え………。
背中を向けていたレイが振り向くと、昴は話し始めた。
「レイのこと、ダイジにおもってるし、スキだよ。レイのきもちも、ウレシー。でも、ゴメン」
真っ直ぐ見つめてくる昴に、レイは顔をしかめる。
「女がいいんでしょ? ウチが男だから、ダメなんでしょ?」
そう、少し震えた声で言ったレイに昴は首を振った。
「オトコとかオンナとか、かんけーナイ。トールが、スキ」
「…………」
「レイに、いっしょにアメリカかえらないと、トールきずつけるっていわれたとき、スゴくコワカッタ」
「……ウチを選んでほしかった」
「トールなら、ちがう」
昴が突然微笑んできたかと思えば、レイまであたしを見た。
トールなら、違うって……。
ジッと見つめてくるレイに、小さく息を吸う。
「……昴が好きなら正々堂々、真っ正面から勝負して。負ける気は、ないけどっ」
フンッと鼻から気合いの息を出せば、レイは暫くあたしを見つめて苦笑した。
「ムカつく。嫌いだよ、こんな女」
「トールは、ステキだよ」
「……バカじゃん。昴も嫌い……ほんと、嫌になる……」
レイは俯いて、涙を流してるようだった。
「……アリガトー。レイ」
「やめてよ。次は本当に襲うよ」
レイを抱きしめようとした昴の手がぴたっと止まる。その姿を見て、レイは笑った。
「こんな美人フルなんて、バッカじゃねーの!」
「トールがいるから」
「あーはいはい! もういい! 喋るな話すなノロケんなっ!」
「んん……レイのにほんご、はやい……」
昴が眉を下げると、レイは笑って、いつの間にか昴も笑っていた。
よく分からないけど、仲直り……したの……?
「おいブス!!!」
「ええ!?」
突然レイがあたしに向き直り、なぜかふんぞり返る。



