――――――…
「調べたの、レイのこと」
「はひ?」
放課後、昇降口で昴たちを待ってるあたしと奈々。
マフラーを巻いてるあたしに、奈々が突拍子のないことを言い出した。
「キョウも調べてくれたの」
「は、はあ……」
協力って、そのことか……。ていうか、さすがお嬢様とお坊ちゃま。
ひとりの人間を調べることなど、いとも簡単にやってのけるのですね……。
「面白いことが分かったわよ」
「え? レイって面白い人なの?」
「在る意味ね。昴が何も言わないのも分かる気がするわ」
何なに!? そう聞こうとした時、昴とレイが校舎から出てきた。その後ろには、翔太とキョウ。
昴はあたしに気付いて、足を進めるのを止めた。
「ダメだよ昴。行こう」
レイが昴を引っ張るけど、あたしはその道を塞ぐように立ちはだかる。
「……昴」
久しぶりに名前を呼んだ気がする。
愛しい。
この世で1番、大切に思う人の名前。
「――っどいて! 昴に話しかけんな!」
レイはあたしの肩をドンッと押して、昴を引っ張る。だけどその瞬間、昴がレイの手を振り払った。
「……昴?」
レイの表情が強張る。
「ゴメン……。トールと、はなしたい……」
昴はレイに言うと、ゆっくり、あたしに視線を移した。
深いブルーの瞳が悲しみを帯びて、泣いていないのにまるで涙を流してるみたいだ。
「……ありがとう昴」
あたしと、向き合ってくれるんだね。



