「奈々こっえー……」
湊磨が体を震わせながらラーメンを食べると、免疫がついた大聖は笑って、忍は無反応。
「まあ、仲直りできるといいな」
「つぅかすぐ戻るんじゃね?」
大聖たちには昴と喧嘩したと伝えた。昨日の出来事は、言ってない。
奈々だけには夜中、目が覚めた時に隣で眠る奈々にメールを打った。
奈々は朝メールを見たらしく、起きたあたしの頭を黙って撫でてくれた。
「昴が悪いのよ。それからレイも気に入らないわ。八つ裂きにしちゃおうかしら」
「奈々。リアルに想像出来ちゃうからやめて下さい……」
「お黙り透」
「あ、やっぱり透なんだ」
和食定食に視線を落としていたあたしは、つい反射的に顔を上げてしまった。
「凄いな。文化祭の時以上だね」
「――……キョウ」
さすがだ。あたし、キョウは気付くんじゃないかと思ってた。
奈々も表情に変化はない。
「大丈夫。誰にも言わないよ。――奈々、ちょっといい?」
「ええ」
キョウは奈々を連れ出して、学食の隅の方に座って何か話していた。
何分かして、キョウと別れた奈々はあたしの顔を見るなり口を開く。
「キョウにも協力してもらうわ」
「えっ! ほんとに?」
驚くと、大聖が「翔太先輩は?」と聞いてきた。
「バカは戦力にならないでしょう?」
ニコッと笑う奈々にあたしたちが思ったことはひとつ。
翔太は彼氏のはずなのに、不憫……。



