「お邪魔しましたっ!」
「透ちゃん、また来てね」
「気をつけてな」
玄関まで見送ってくれたお母様とお父様に頭を下げて、昴と手を繋いで駅まで歩く。
「サイン貰っちゃった~! 一生宝物にする! 部屋に飾る!」
ご機嫌のあたしを昴は可笑しそうに笑う。
「しってて、ビックリした」
「あたしもビックリしたよっ」
「ハハッ! そうだよネ~」
オーランドのサインが貰えたから嬉しいだけじゃないの。昴にダイスキって言われたから、もっと嬉しくなったの。
「へへ~」
昴にぴったりとくっつくと、頭を撫でられた。きゅうって、愛しさがこみ上げてくる。
あたし、撫でられると昴の彼女なんだなぁって思う。
嬉しい。
しあわせ。
「きをつけてね」
「うん! 送ってくれてありがとーっ」
駅に着くと昴はあたしの髪に触れ、腰を折って唇を重ねてきた。
「――……」
「……good night」
目を瞑る暇もなかったあたしは昴に至近距離で囁かれ、真っ赤になる。
いつも頬なのに!
かぁーっと赤くなるあたしにクスリと小さな笑いを漏らして、昴は帰路に戻った。
なんかあたしって……昴に振り回されてるっていうか、なんていうか……。
ドキドキと胸打つ鼓動に、いつも寿命が削られているんじゃないかと思う。
触れた唇さえ熱く感じるのは、昴の想いを注ぎこまれた気がするから。
好きだなぁ……。
ほんとに、どうしようもなく。
見送っていた昴の背中が見えなくなり、駅に入る。
「――幸せ~って感じだね、透」
「……」
決して静かではない駅構内でスッと耳に入った声。
振り向くと、駅の出入り口の壁に寄り掛かるレイの姿があった。



