「……昴いねぇじゃん。何で奈々たちと来てんだ、お前」
「……」
隼人のバイト先に着くと、早速隼人は言ってはいけないことを聞いてくる。
「ちぃ君! 4名様で願いしますっ」
「透だぁ~! いらっしゃ~いっ」
あたしは隼人を完全無視してホールを歩いていたちぃ君に駆け寄り、席に向かった。
「落ち込むくらいなら最初っから嫌だって言やぁいいんだよ!」
水を持って奈々たちとやってきた隼人はどうやら昴がいない理由を聞いたらしく、あたしの顔を見るなり言い放つ。
「透、いい? 明日は昴に言いなさいよ? 遊びに行きたいって」
「そうやで透~。このままじゃ2週間ずっとレイに昴奪われんで!?」
「彼女なんだから、遠慮することはないと思うよ」
それぞれが席に着きながら、あたしを元気づける言葉を言ってくれた。
「……でも、小さい頃からの幼なじみじゃん。やっぱ昴も会えて嬉しいと思うんだよね……」
あたしならまだ平気。まだ大丈夫。
我慢出来る!
「我慢なんてするものじゃないわよ」
「何でっ!?」
やっぱり奈々は人の心が読めるんですね……?
「言いたいことは言わんとストレス溜まんで~?」
「美容にも良くないよ?」
読まれないようにソファーの端っこに寄っていると、翔太とキョウが奈々に同意と言わんばかりに背中を押してくれる。
みんな……好きっ!
「ありがとう! でも大丈夫。しばらくは仕方ないから、我慢するよっ」
ニカッと笑うと、みんなは目を合わせて「透がいいならいいけど……」と心配そうにしながらも笑ってくれた。
しばらくは仕方ない。
そう思ってたけど、次の日も、その次の日も昴はレイに連れられて、土日まであたしは昴と遊べなかった。
レイが来てから一週間。
昴から聞く言葉は“カワイー”でも“ダイスキ”でもなくて。
“ゴメン”ばかりだった。



