「……え? 今日も帰れないの?」
一夜明けた放課後。いつものように昇降口に向かうと、レイと並んで立つ昴が眉を下げる。
「ゴメン……レイがきゅうにmovieみたいって」
ま……まじか……。
「Pleia! 早く行かないと始まるっ」
レイがぐいぐいと昴の腕を引き寄せる光景に、胸がチクリと痛んだ。
「ゴメントールーッ!」
半ば強引に引きずられながら、昴はレイに連れて行かれてしまった。
「…………」
あたしは小さく手を振って、2人が見えなくなるとがっくりと肩を落とす。
「と、透……元気出しぃや」
後ろで傍観していた翔太があたしを励ますけれど、あまり元気にはなれなかった。
「あの様子じゃ2週間あの調子だと思うけど、どうなの?」
「まあ……久々の再会だからね」
奈々とキョウもそんなことを言いながら、だいぶ遠くに行ってしまった昴とレイを眺める。
「……プレアって何? 昴のことだよね?」
ゆっくり振り向いて問い掛けると、目があったキョウが答えた。
「アメリカにいた時のあだ名みたいだよ。昴って星の名前でしょ? プレアデスっていう、おうし座の六連星から取ったらしいよ」
おうし座……。濁点があったらおうじ座じゃないですか……さすが昴。
名前まで王子っぽいなんて、素敵すぎますね……。
「レイが付けたらし……イッテ!」
「バカ翔太。最低。ハウス」
「せやから犬扱いすな言うとるやろ!?」
レイが付けたんだ……。ふーん……。
昴から、聞きたかったな……。
「………」
あたしヤバい。すでに禁断症状が!! 昴欠乏症が!
「みんな今日暇!? 隼人のバイト先がパスタ屋なんだけどねっ、すごい美味しいの!」
「あら、いいわね。私行くわ」
美味しい物に目がない翔太とキョウも行きたいと言ってくれたので、みんなで行くことにした。
良かった……。
ひとりになると、余計なこと考えちゃう……。



