「――え? 一緒に帰れない?」
清掃時間が終わる頃、教室で椅子に座っていたあたしの携帯に昴から電話がきた。
『レイが、あんないしてほしーって』
案内って……街とか学校近辺の案内ってことだよね?
「そっか、わかった!」
『トールもつれていきたいけど、レイselfishnessだから……つかれるとおもうんだ~。ゴメンネ』
レイって我が儘なんだ……。うーん。昴が言うならそうなのかも? 女王様的な?
「ううん! 楽しんできてねっ」
『アリガトー』
「はーい。じゃあねーっ」
電話を切って携帯をブレザーのポケットにしまう。
……ふむ。久々に1人になったなぁ……。何しよっかな。
奈々は翔太と遊ぶだろうし、キョウはバイトで、大聖も湊磨も忍も部活あるでしょー……。あ。隼人学校来てるかな。
3年生の隼人は卒業間近の為、自由登校になってるはず。
『助けて。ヒマ』
そう隼人に送ると、すぐに返事がきた。
『バイトしてっから、来いよ』
隼人がバイト!?
似合わなすぎて笑いながらメールのやり取りをすると、どうやら隼人は駅裏のパスタ専門でバイト中とのこと。
放課後に行くと伝えてからパチンと携帯を閉じて、何のパスタを食べようかと考える。
「何ニヤニヤしてるのよ」
お手洗いから戻ってきた奈々が、不審者を見る目であたしに問いかけた。
「昴が一緒に帰れないって言うから、隼人のバイト先に行くことにしたんだーっ」
「ふぅん……。隼人先輩、バイトなんてしてたのね」
「絶対彼女の為だよね。奈々は翔太と遊ぶんでしょ?」
「しつけるだけよ」
「座れー! ホームルームすんぞーっ」
教室に担任が入ってきて、奈々との会話は中断された。
パスタ何食べよっかなぁー。
あとで大聖たちに行ったことあるか聞いてみよう。



