「Hello everyone! my name is leraie」
「カワイーッ」と周りの生徒が話しているのが聞こえて、目を伏せてしまった。
だってやっぱり、あたしの勘は当たってた。
「皆さんコンニチハ! アメリカから来たレライエです。レイって呼んで下さいね」
声の可愛さも目立ったけれど、なにより日本語がうまい……。
――レライエ。
昴の、幼なじみだ……。
「えーっと。ウチはアメリカから来たんですが、ずっと日本に来たくて、いっぱい勉強してやっと留学出来ることになったので、今凄く嬉しいです! 2週間だけですが、仲良くして下さいねっ」
レライエ……レイに、生徒から拍手が贈られる。
「Thank you」
パラパラと拍手が止み体育館が静寂を取り戻すと、マイクに繋がるスピーカーからレイの息を吸う音が聞こえた。
「Pleia!」
――…プレア?
伏せていた目を瞬きさせ、壇上にいるレイを見ると生徒に向けて手を振っている。
「class! 一緒だからよろしくねーっ」
レイの笑顔の先には、レイとよく似たプラチナの髪をした昴。昴はブルーの瞳を細めて、小さく手を振って笑っていた。
「えっ!? もしかして王子と知り合いなのかなっ」
「王子先輩ってアメリカから転校してきたんだよね?」
周りの生徒がヒソヒソと話している。耳を塞ぎたいけど、塞ぐ理由が見つからない。
「もしかして元カノじゃない?」
体が、ずっしりと重くなった。
聞きたくない噂話がザワザワと立ち始める。
元カノ……。
そういえば、いたかいなかったのか聞いたことなかったな……。
あたしは魂が抜けたみたいに総会が終わるまで、ずっとぼんやりしていた。



