「ふふっ。お揃いですって。立場無いわねぇ、翔太?」
「お前らなぁ……っそういうんは外でやれ! 俺らの前ですんなっ」
今にも泣きそうな翔太に、あたしと昴とキョウは笑う。
「翔太はまだまだってことだよね」
「王子様にはほど遠いわね」
キョウと奈々はやれやれ……って感じで首を振ったり溜め息をついたり。
「俺は奈々の為を思ってペアちゃうねんぞ! 我慢したんやで!?」
「我慢だなんて、らしくないことするからこんな哀れな結果になるのよ」
「哀れって! ほんなら今日放課後それと同じやつ買いに行くから付き合えやっ」
「気持ち悪いわ」
「どっちやねん! ほんま腹立つわー……。もう買ったる。絶対買ったる! 奈々っ! 放課後ホンマに付き合えやっ」
意気込む翔太に奈々はニッコリ笑う。
「ハウス」
「犬扱いすなぁぁあああ!!」
初めて奈々のハウスを聞いたあたしとキョウは思わず吹き出してしまう。
「ショータは、バンケンのヤクもしてるんだネ」
のほほんと言う昴にキョウは椅子から転げ落ちる勢いで笑いだし、翔太は怒り出した。
「どないな役やねん! つうかその言い方やと彼氏も役みたいやろ!? 役ちゃう! 正真正銘、俺が奈々の彼氏やっ!」
「うるさいわねぇ……キャンキャン喚かないでちょうだい」
「なんっで俺がうるさい言われなアカンねん! 奈々も役ちゃうって否定するとこやろ!? しろや!」
「ふふっ。私に命令するなんて何様なの? 視界に入らないで」
学食にはあたしたちの笑い声と翔太の怒涛の声が、いつまでも響いた。



