「Pair」
微笑む昴の薬指には、あたしにくれた指輪と同じデザインのものが光っている。
あたしはピンクゴールド。昴はブラックシルバー。
あたしの指輪には中央に1mmくらいにラウンドカットされた、多分ダイヤモンド。
昴には付いてなかった気がするけど、涙でよく見えなかった。
「す……すばっ……ありがどぉおおお!」
「アハハッ! ナキムシ~」
「そりゃ泣くよーっ!」
嬉しすぎる。
こんな幸せなことってない。
昴が王子様に見えて、仕方がないよ。
「うっ、うぅ……嘘だよ昴! ホントはチョコあるんだよーっ」
「ホントッ!?」
泣きながらチョコを差し出す。
「んんっ! Thank you……アリガトー! ウレシーッ」
受け取るなり、昴は満面の笑みを見せてくれた。
……あたし、幸せすぎる。
きっとこれから毎日、指輪を見るたび泣きたくなる。
幸せすぎて泣くなんてちょっと怖いくらいだけど、なんて贅沢。
「トール、ダイスキ」
「世界一好きですっ!」
あたしの左手に輝くお揃いの指輪が、昴の左手にもはめられてる。
その左手を、あたしだけがずっと繋いでいたい。
その左手を握れるのはあたしだけだと、信じてもいいですか?



