おっふぅ…………。
「ああ。今日何か違うと思ったら前髪下ろしてたのね。久々で可愛いわ」
「ありがと奈々……。でも今はそんなことどうでもいい雰囲気だってことを察してクダサイ」
食堂に入るとすぐ目に飛び込んできたプラチナの髪。その横には、積み上げられた無数の箱や袋。
挙げ句、今昴に話しかけた女の子は「貰ってください!」と一方的にテーブルに箱を置いて走って逃げて行った。
オーマイガー……。
「あらあら。王子様は大変ね」
「あんなに貰って……そんなバハマ……」
「クソつまんないギャグ言う舌なんて今すぐ噛み切ればいいのに」
必死に自分を駆り立てようとしたあたしを慰めるどころか、死を望む奈々様に涙目です。
「ほら、何食べるのよ」
「……チョコ食べる」
「バカ。それは昴にあげるやつでしょう」
「だってだってあんなにチョコ貰ってさぁっ! あたしのチョコなんていらないじゃんっ!」
「嫉妬って醜いわよねぇ」
「…………」
奈々のバカ! 鬼!
そう思いながらも心が寒いので猿の如く奈々の腕にまきつくあたし。
頭上から溜め息が降ってきたけれど、奈々は何も注文しないあたしに「仕方ないわね」と言ってそのまま歩き出す。
昴たちの元へ行くと、また昴はチョコを渡されていた。
ムスッとして、わざと翔太の隣に座り真向かいの昴を見る。
「トールッ」
……っストップあたし!
笑顔を見せる昴にきゅんとしてしまう自分を心の中でボッコボコに殴りながら、テーブルに紙袋を置いて、その中から2つの小袋を取り出した。
「はいっ! ハッピーバレンタインッ」
もはや投げやりに翔太とキョウにチョコが入った小袋を渡す。



