「――おお~……あたしだ」
手際良くメイクしてくれた奈々は、本当に軽くで終わらせてくれたらしい。
奈々の鏡を覗くと、髪色と同じ色になった眉に、カールされた睫毛は透明マスカラが塗られていた。
「必要ないだろうけど」と言われて顔全体に塗ったくられたのは、多分フェイスパウダーだと思う。いつもより肌がきめ細かくなっていた。
それ以外は分からないけど、数分前のあたしなんかよりは全然マシです!
「学食行きましょ。チョコ渡すんでしょ?」
「あっ。待って奈々!」
お弁当箱を持って立ち上がろうとした奈々を引き止め、カバンから出した小さい袋を差し出す。
「今年はカップチョコ! ビターだからそんなに甘くないよっ」
「あら。ありがとう」
奈々が受けとってくれた透明に黒と白のストライプが印刷された小袋の中には、4つのカップチョコ。
湯煎したチョコを流し込んだだけだったり、生チョコっぽくしてみたんだけど、アーモンドとかクッキーが中に入ってて、ココナッツパウダーとかカラースプレーを上に振りかけてみました。
「カラフルで透らしいわね。――はい。私からも」
「わあ! ありがとう……って、またこのブランドッ!」
「兄様が好きで買ってくるんだもの。余りものよ」
奈々があたしに渡してくれたのは去年同様、有名チョコブランドの箱詰めだった。
貰えたあたしは嬉しいけど、こんな高級なチョコを余らせるなんて……。
大事にカバンにしまいながら立ち上がった奈々を見れば、その手にはやっぱりお弁当箱しかない。
本当に翔太には何もあげないのね……と思いながら、あたしは紙袋を片手に奈々と食堂へ向かった。



