―――――――…
『奈々のやつチョコ買うた!?』
奈々と別れ、家で早速チョコを作っていたあたしに翔太から電話がきた。
「はは……材料すら買ってないね」
苦笑いをすると、落胆する翔太の姿が思い浮かぶ。
『ありえへん! ほんっま何様やねん! むかつくっ! 鬼! 美人! 好きやっ!』
「あはははっ! 最後告白じゃん!」
キッチンからリビングに移動して、ソファーに座ると翔太の声が落ち込んだように小さくなった。
『なぁ~……奈々ってほんまに俺のこと好きなん? 俺、好き言われたことないんやけど』
「んー……奈々は好きとか言わないからなぁ……」
あたしでさえ、好きって言われたことないような……。
良くて、「いい子ね」くらい。
『いっつも言われるん、気持ち悪いとかお黙りやで? この前なんてハウスとか言われたんやで? ハウスて! 俺は犬ちゃうっちゅーねん!』
ふ……不憫すぎる……。
「奈々は照れ屋だからさ。てか奈々は興味無い人にはお嬢様な対応するから、自信持っていいと思うよ?」
『最近、お嬢様の仮面をかぶってくれとった方がまだマシやったかもと考えんねん……』
じゅ……重症だ……。
「チョ、チョコ貰えないだけじゃん! 別れるわけじゃないんだからさっ! 元気出して!」
我ながらなんてヒドい元気付け方なんだろうと思いながらも、それくらいしか言うことがない。
『バレンタインやで? 男が1年で最も輝く日やで? 彼女おるのにチョコ貰えへんて……泣きたいわっ!』
「で…ですよね…」
ごめん翔太。あたしもう何も言えません……。
その後も延々と翔太の日頃の不満を聞かされ、チョコを作り終えたのは夜中の3時になってしまったのであります。



