「ん奈々ぁぁああああ!!!」
「うるさいわね。何よ」
早々と昴たちと別れ超特急列車のごとく奈々の元へ猛突進。
「すばっ……昴っ! 去年チョコ貰ったって! さりげなく、さも当たり前のように言ってたんですけどぉぉお!!!」
「やぁねぇ。学校1の王子なんだから、チョコあげる女子なんて星の数ほどいるに決まってるじゃない」
星の数!? それって何個!?
「今年もきっと貰うんだ……山のように貰うんだ……」
「星の数だって言ってるでしょ」
「どっちにしたって大量に貰うじゃんか!」
あたしのチョコなんてミジンコのような存在にしかならないんだ!
「負ける……昴を狙う女子高生に負けてしまう……」
「翔太に聞いたけど、他高の女子高生にも貰ったらしいわよ。」
「んなぁっ!?」
「中学生とOLにも貰ったって」
さすが王子……あなたの美貌は留まることを知らないのですね……。
さすがです。そんな王子の彼女なあたし。
まるで颯爽と野原を駆ける輝く白馬と、肉眼では見えないミジンコです。
「どうしよう奈々ーっ!」
「今年は透がいるから受け取らないんじゃないの」
めんどくさくなったのか、適当になだめようとする奈々をギッ!と力の限り睨む。
「バカ! 昴は紳士そのものなんだよ!? 断るわけないじゃんか!」
笑顔で「アリガトー」って受け取るに決まってるの! なぜなら紳士だから! 世界一素敵な王子だから!
「その気もないのに受け取るなんて、罪な男ねぇ」
そう! 天然が故に罪な男、桂木 昴!
「耐え忍ぶしかないわね、ミジンコさん」
ぽん、とあたしの肩を叩いて笑う奈々はすごく楽しそう。
あたしには耐え忍ぶ道しか残っていないのですか!?



