「……まあ、触ろうとして拒否られたら、はん?とは思うわ」
「だよなー。俺も今再現だと思っても軽く傷ついた……」
「やっぱり!? そうだよね!? どうしよーっ!」
両手で頬を包むあたしに、忍は冷静に声を掛ける。
「触られんのが嫌だったわけ?」
「嫌じゃないんだけど……何か、急に恥ずかしくなっちゃって……」
「はん? あんだけ毎日ウザイくらいイチャこいといて? ウゼーな」
「ウザイとか言うな!」
「恥ずかしいって、例えば?」
忍から湊磨に視線を移して、あたしは躊躇いがちに話した。
「顔が見れない。うまく話せないし……手も繋げないって思うし……。とにかく恥ずかしいの! 今まで普通にしてきたこと全部が!」
「頭撫でられんのも?」
「無理……今のあたしじゃ心臓爆発する気がする」
「ぶはは! 爆発て!」
「湊磨にとっては笑いごとでもあたしには笑いごとじゃないんだってば!」
本気で困ってるんですけど!
「あたしどっかおかしくなったと思うんだよ! ネジ1本取れたとか!」
「それいつもじゃね?」
サラッと言いのけた忍を蹴飛ばしたい。
「真面目に相談してんのに!!」
怒ると、「分かった分かった」湊磨はあたしを宥るように言った。
ほんとに分かってるんですか……?
「ん~。そうだなぁ~」
湊磨は手を顎に添えて、考えるように宙を見上げた――と思ったら、突然あたしの手を握る。
「恥ずかしくない?」
「……? うん」
続いて湊磨はあたしの頭を撫でた。
「別になんともないけど……」
ていうか湊磨に照れるわけないじゃん!



