「とにかく! 俺は無理だか、ら。……変わりにあいつでよくね?」
「……あいつ?」
乱れた髪を直しながら隼人が遠くを指差して、指先を追うと裏庭の出入り口に人影があった。
「湊磨?」
「仲いいんだろ?」
「まあ仲いいけど」
なんで湊磨がここに?
「あー寒っ! じゃあな透」
立ち上がった隼人にあたしの頭が動くほど乱雑に撫でられる。
隼人の背中を見送ると、入れ違いで湊磨がやってきた。
「俺に似てる隼人先輩ってあの人!? すれ違いざま髪色褒められたっ! すげぇイケメンだな」
「黙ってればね」
「うはは! ヒデーッ」
それに昴の方がカッコいいもん……。
「何話してたの?」
しゃがんで雪を触ってるあたしの隣に湊磨は座る。
「んー……慰めてもらってた?」
隼人はアドバイスとかより、あたしを泣き止ませるのが専門かもしれない。
あたしは隼人の前だと何にも我慢しないから。
「ふーん。じゃあ俺には何してほしいっ?」
そう隣で言った湊磨に、やっぱ心配して来てくれたのか、と思う。
「じゃあ……放課後一緒に遊んで」
「おっけーおっけー! 大聖とかも呼ぼうぜ! 部活ミーティングだけだからっ」
「あ、そうなんだ」
「つうか戻っぺ! さみぃ!」
湊磨は気遣うように、極力目を合わせないようにして先に歩き始めた。
あたしの目、多分真っ赤になって腫れてるから……。
優しい。
湊磨って、イイ奴。



