「ちょっと透っ! お母さんのことちゃんと紹介してよ!」
「さっき自分で勝手にしてたじゃん……」
「まっ。ヒドい子ね!」
ぷくっと頬を膨らますお母さんを見て、昴は口を押さえて肩を震わせていた。
ピンクのフリフリエプロンが通常装備なあたり若作り全開なんだけど、お母さんが自分で言ってた通り、30代には見えない。
つまり童顔なあたしはお母さん似なわけだけど……。
可愛いものや料理が大好きで、二児の母になっても女の子らしさを忘れていないのがすごいところ。
背はあたしよりも大きくて、胸下まである茶色い髪は緩いウェーブがかかっている。
「透っ! 紹介してよ! 彼はどこの国の王子様なの? どこからいらしたの!?」
「…………」
どこの国の王子様って……。
目を輝かせながらあたしの両肩を掴んで揺さぶるお母さんはちょっと、いや、かなり夢見がちな母親……。
「ハジメマシテ。桂木 昴です」
「声まで素敵ね透っ! どこで出逢ったの!? 舞踏会!? ちょっと透聞いてるのーーっ!?」
「おかっ……離し……っ気持ち悪……」
ガクガクとあたしを揺さぶり続けるお母さん。
あの……意識が遠のきそうです……。
「オカーサマ。トールがblueになってきました」
あぁ昴。顔が青くなってきたのに気付いてくれたのね……さすが王子……。



