「あたしどうしちゃったのぉぉーっ!?」
「ウゼーから泣くんじゃねぇよ!」
「だって! だって……っ!」
ボタボタ落ちる涙を黒いカーディガンの裾で乱暴に拭いてくれるのは、隼人。
食堂で奈々の制止を聞いたらしく、あたしのカバンを持って探しに来てくれた。
一部始終を話して、今この状況。
「昴に嫌われたら……どゔじよ゙ーっ!」
「知らねーよ!」
わぁぁん!と泣くあたしに優しさの欠片もない言葉。
慰めに来たんじゃないの!?
「隼人……おねっ……うぅっ」
「はあ!? だから取り合えず泣き止めっつぅの!」
隼人の裾があたしの涙でじわじわ濡れていく。
「……で? なんだよ、おねっ!って」
だいぶ落ち着いたあたしに呆れながら聞いてくる隼人。その腕をガッと掴んだ。
「今日あたしと放課後一緒に遊んで!」
「は? 何で」
「だって昴と一緒に帰れないもん! 手なんて……いやーーっ!! 無理! 繋げない!」
想像しただけで恥ずかしい!
「お願い隼人!」
「無理。今日はミカと遊ぶから~っ」
彼女の名前を口に出しただけでご機嫌になる隼人に意気消沈。
隼人のバカ! バカバカ! 可愛い後輩を助けてくれたっていいじゃん!
「そんなんだから後輩の忍にバカ2号って番号登録されてるんだよっ!」
「そういうお前はバカ1号で登録されてんだろうがぁあああ!」
ギャーギャー暫く言い争って、お互いぐちゃぐちゃになった髪の毛や制服をそのままに、溜め息をついた。



