「奈々! 透! こっち!」
食堂の受け取り口でそれぞれが注文した物を受け取った時、すでに席を取っていた翔太が手を上げて奈々とあたしを呼んだ。
「うるさいわね。分かってるわよ」
「親切心やろ!?」
あたしは奈々の一歩後ろに立って、隠れるように身を隠す。
一緒に来ていた大聖と忍は、キョウと昴と軽く話して立ち去ろうとしていた。
うう……やっぱ無理だよーっ!
──ゴンッ!
「いたっ!」
突然後ろから頭を叩かれて振り向くと、湊磨がニヤリと笑って「照れてんなよ」と小声で言った。
「~ッバカ! うるさいっ」
「ははっ!」
笑って忍たちと一緒に去って行く湊磨を睨んで、大人しく席に着く。
また顔熱くなってきた……。
ていうか昴、なんで人がいっぱいいる廊下であんなこと……。
そういえば球技大会の時も……って、昴も昴だけど、あたしもあたしじゃん……! 人前で! 堂々と!
これって、はれんち……?
「――ル。トールッ」
「はいっ!?」
顔を上げると、向かい側に座っていた昴とバッチリ目が合った。
「――っ!」
あたしの意思とは関係なしに、かぁっと赤くなる顔。
昴は何でか眉を下げてあたしを見てくるけど、その視線だけでも体中が熱くなって顔を背けてしまった。
何で!? 有り得ないくらい心臓の音早いんだけど……っ!
「トール? ダイジョブ? カオ、あかい」
「大丈夫! 何でもない!」
昴の顔見れない!
「……ホント?」
「ホントッ!」
どうしよう。どうしよう!
何でこんなに恥ずかしいの!?



