「――beautiful!」
「そ、そう?」
「トールhouseカワイー」
あたしの家の前でハシャぐ昴は、外観がレンガ調なのが特に気に入ったみたい。洋風なのは、お母さんの趣味。
「とっ、とりあえず入ろ!」
腰あたりまで高さがある白い門扉を押し開けて、玄関に向かった。
後ろをついてくる昴をチラリと見遣ると、目を輝かせて我が家を見上げている。
何がそんなに楽しいの昴! あたしはドキドキして今にも倒れそうだというのに!
「ただいまー……」
ガチャッとドアを開けて中の様子を伺えば、シン……としていて返事も返ってこない。
よしよし……居ないみたい!
「昴! 入っ……」
「きゃーーっ!!」
居たぁあああああ!!
バッと勢い良く廊下を見れば、先程の昴に負けないくらい目をキラッキラに輝かせる人物が立っていた。
「おっ……お母さんっ!」
「透っ! 誰なのこの美男子はっ! やだぁああ素敵ぃいい!」
「ちょ、落ち着いっ……」
「初めましてぇええ! 若く見えるけど透の母ですぅーっ!」
「お母さんんんん!!」
テンションが高すぎるこの人は紛れもなくあたしのお母さんなんだけど、否定したい……。今だけは他人になりたい……。
今日は居ないと思ったのに!



