―――――…
「トール」
放課後、昇降口の前で雪が降ってるのを眺めていると、昴と翔太がやってきた。
「おまたせ」
「そんなに待ってないよ!」
ニコッと笑うと、翔太が身震いした。
「うっ! 寒っ」
「その前に言うことがあるでしょう? 最低ね」
「ワリィ待った!?」
「当たり前じゃない」
奈々と翔太って面白いな……あたしと昴と大違い。
「かえろー」と言って手を差し出した昴の左手を握ると同時に、騒がしい声が聞こえた。
「げ。透と奈々じゃん」
「昴先輩。翔太先輩も。今帰りですか?」
ポケットに手を突っ込んで現れた忍と、爽やかに挨拶する大聖。その後ろには湊磨もいた。
「ぎゃあああさみぃいいい!!」
ぴょんぴょん飛び跳ねる湊磨のポケットから、鍵が落ちる。
「湊磨、落ちたよ」
積もった雪の上を指差すと、湊磨は「うお!」と言って鍵を拾い上げた。
「危ね~……サンキュー透」
「それ、キー? バイク乗るん?」
なぜか目を輝かせた翔太が聞くと、湊磨はきょとんとする。
「湊磨。奈々の彼氏の翔太だよ」
「ああ! はじめまして湊磨です~! 残念ながらこれはビッグスクーターの鍵っすよ」
人懐っこい笑顔を見せた湊磨に、同じく人懐っこい翔太は詳しく話を聞いている。
「バイクバカ」
ボソッと奈々が言ったのが聞こえて、そういえば翔太ってバイクの免許持ってたなぁと思い出した。
「――え! じゃあやっぱその人が透の彼氏なわけ!?」
翔太と盛り上がっていた湊磨が、急にあたしの隣にいる昴を興味津々に見始める。
不思議そうにしながらもニコリと微笑んだ昴に、湊磨は目を丸くした。
「うわマジかよ! おい透、こんなイケメンどうやって落としたんだよ!」
「うるさいっ!」
恥ずかしいこと言うな!
「透って面食いなんだなーっ」
「違いますぅー! 昴だから好きなのっ!」
言ってからハッとしたあたしは、ジワジワと熱が顔に集まってくる。
「いや……えっと……」
かぁーっと赤くなると、昴は嬉しそうにあたしの顔を覗き込んできた。



