「奈々いこーっ」
「一気にご機嫌ね」
「げぇへへっ」
「その笑い方やめてって何回言えば分かるの。気持ち悪い」
その言葉は聞こえないふりをして、湊磨たちと一言二言話してからあたしと奈々は昴のあとを追った。
「見掛けん顔やな」
「あれが噂の転校生?」
席に着くと、翔太とキョウがまだ立ち話をして騒いでる湊磨たちを見ている。
「そうだよ。あの赤髪が転校生の湊磨!」
さてさて、いただきまーすっ!
熱々のチャーハンをすくって食べると、向かい側に座る昴と目が合った。
「……?」
「なかいいの?」
首を傾げるとそう聞かれて、チャーハンを飲み込んでから口を開く。
「うん! でも湊磨って意地悪だよねっ」
隣の奈々に問い掛けると「そうね」と笑った。
「バスケもさ~、あたしより上手くて……すっごい悔しい!」
エースの隼人と大聖に負けるのは仕方ないけど、タメの湊磨に負けるのは悔しい!
「ほんならライバルなんや」
「うんそう。ライバルなの」
力強く頷くと、奈々がクスリと笑った。
「透ったらいつも湊磨にからかわれてるのよ」
「……いつも?」
「そう! 今日なんて授業中に変顔してきてさ。爆笑しちゃってつんちゃんにチョーク投げられるし、延々と問題解かせられたし……もう湊磨のせいで最悪だったよーっ」
ブツクサ文句を言うあたしに、翔太もキョウもポカンとしている。
「いやまぁ……あれやな……うん」
「だね。透は、犬っぽいしね」
なぜか昴をチラチラ見て話すふたりに片眉を上げるあたし。
「トール……ソーマのこと、すき?」
「……好きだよ? 腹立つこともあるけど」
「そっか」
昴は微笑んで「なかよくしなきゃダメだよ」とだけ言った。
なんか昴、元気ない……? 気のせいかな。



