「――ごめん! やっぱ電話じゃなくて直接昴んとこ行ってくる!」
昼休みが終わる頃、あたしは教室に戻る前に昴の教室に行くことにした。
「ああ。じゃあ私も行くわ」
「行ってらっしゃい」
大聖たちと別れ、あたしと奈々は2階へ向かう。
「さすがに委員会終わったよね」
「そうね」
足取り軽く階段を登り、昴の教室を目指せば教室のちょうど真ん中にプラチナ髪を発見。
「いた! 昴っ!」
翔太とキョウと話していた昴はあたしに気付くと、パッと笑顔を向けてこちらに駆け寄ってきた。
はあ……っ! 今日もダイヤモンド以上の輝きです王子!
「どしたの?」
「あのね、今日一緒に帰れないんだ」
「よーじ?」
キョトンとする昴に奈々が答える。
「私たちのクラスに転校生が来たのよ」
「それで歓迎会することになったからさ! ごめんね!」
パンッと両手を顔の前で叩くと、温かくて大きな手があたしの頭を撫でた。
「ウン、わかった。たのしんできてネ」
見上げると、目尻を下げて微笑む昴。抱き付きたい。けど、校内なので我慢。
「ありがとう!」
「昴。翔太にも言っておいてくれる?」
「え? あ、んと…………よぶ?」
昴はチラリと教室を見る。視線を追うと、翔太が今か今かと奈々に呼ばれるのを待っていた。
「な、奈々……呼んであげて! 早く!」
忠犬のような目つきだよ……!
「嫌よ、面倒くさい。じゃあね昴、よろしくね」
「あぁ奈々! じゃ、じゃーね昴っ」
「ウン」
「えぇー!? 奈々ぁあああああ!?」
翔太の叫びも虚しく、奈々はスタスタと去って行く。
廊下まで響いていたのは、キョウが爆笑する声だった。



