「トールのhouseはどこ?」
「へ?」
昴の言葉に疑問を持って、あたしの頭はフル回転。
――忘れてた……っ!
「トール?」
「えっとね! 200円のとこ!」
「200……」
ふんふん、と頷いて昴は定期があるのに切符を買っている。
だけど口に出すことなく、あたしは急いで携帯を開いてメールを打った。その速さといったら尋常じゃない。
目が血走りそうなほどバチバチッとメールを打ってすぐに送信。
携帯をポケットにしまいながら顔を上げると、ちょうど昴が振り返った。
「たのしみ~。トールhouse」
「何もない家だけどねー」
へらりと笑い返すあたしの内心はめちゃくちゃ焦ってる。
なぜなら今日は、昴があたしの家に初めて遊びに来る予定だったから。
なのにあたしってば目の前の昴に浮かれてばっかで、すっかり忘れてたよ! バカ!
ああ……メールが無事に届いていますように。何事も起きませんように。
家に着くまでの20分、あたしは祈りながら、ずっとハラハラしていた。



